スチールパレットは、重量物や大型品の輸送・保管を支える鋼製のパレットです。横尾工業では、荷物や使い方に合わせたスチールパレットを設計・製作しています。種類・耐荷重・材質・表面処理など、選ぶ前に知っておきたい基本を図と表でご紹介します。
スチールパレットとは
What Is a Steel Pallet
ポイントスチールパレットは、鋼材を溶接・加工してつくる金属製のパレット。重量物や大型品を、繰り返し安全に運び・保管するための物流機器です。

スチールパレットが向いている場面
| こんなとき | 理由 |
|---|---|
| 重量物・大型品を運ぶ | 鋼材の強さを生かし、重い荷物を支える構造にできる |
| 同じパレットを繰り返し使う | 丈夫で、点検・補修しながら長く使える |
| 荷物の形に合わせたい | 溶接で、支柱・受け台・固定金具などを自由に組み込める |
| 輸出に使う | 鋼材のみのパレットは、ISPM 15に基づく木材処理が不要。木製の部材・敷材を併用する場合は、輸出先の規制を確認します |
一方で、木製・樹脂製に比べて重く、錆への対策が必要です。用途によっては、横尾工業の木製パレットもあわせてご検討ください。
スチールパレットの種類
Types of Steel Pallets
ポイントまず「荷物をどう載せるか」で形を決め、次にフォークリフトや保管の条件を合わせます。

平パレット
荷物を載せる面がある基本形

支柱付きパレット
支柱で囲う形。段積みの可否・段数は仕様による

フレーム・架台
部品や機器を決まった位置で支える
フォークの差込方向

四方差しでも、すべてのハンドリフトが使えるとは限りません。爪や車輪の寸法も確認します。
標準サイズの目安
国内の平パレットでは、JIS Z 0601で定められた1,100×1,100 mm(11型)が代表的な規格サイズです。スチールパレットは、荷物や設備に合わせた専用サイズで製作することもできます。
寸法と耐荷重の考え方
Dimensions and Load Conditions
ポイント耐荷重は材質や板厚だけでは決まりません。「どう支え、どう動かすか」とセットで考えます。


静荷重
床に置いて静止させるとき

動荷重
フォークリフトで運ぶとき

ラック荷重
ラックの梁に載せるとき

同じ重さでも、機械の脚のように一点に集中すると条件が厳しくなります。使える荷重は、条件を決めたうえで個別に確認します。
材質の選び方
How to Choose Steel
ポイント迷ったら、まずSS400(角パイプならSTKR400)が基準。条件に合わない点があれば、別の材質を検討します。

| こんなとき | 検討する材質 |
|---|---|
| 屋内で使うパレット・架台 | SS400・STKR400+塗装 |
| 溶接構造(橋梁・建築鉄骨・水門・タンクなど) | SM400・SM490 |
| 同じ形状で、もっと強くしたい | SM490・STKR490 |
| 見た目重視のカバー・ケース | SPCC+塗装 |
| 屋内で、塗装なしで錆を抑えたい | SECC |
| 屋外・湿気の多い場所 | SGCC、溶融亜鉛めっき、屋外用塗装 |
| 水洗い・食品・薬品の現場 | SUS304 薬品は種類・濃度・温度を確認 |
材質記号の読み方
(一般構造用圧延鋼材)
400 N/mm²
「400」は耐荷重400 kgという意味ではありません。
代表的な材質
| 分類 | 材質(規格) | 特長 | 強さの目安 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 構造用の鋼材 | SS400JIS G 3101 | 最も一般的。入手しやすい | 400〜510 N/mm² | パレットの骨組み、架台 |
| SM400・SM490JIS G 3106 | 溶接を前提にした鋼材 | SM400:400〜510/SM490:490〜610 N/mm² | 溶接構造、厚板 | |
| 鋼板 | SPHCJIS G 3131 | 熱間圧延。表面に黒皮 | 270 N/mm²以上 | 補強板、ブラケット |
| SPCCJIS G 3141 | 冷間圧延。表面がきれい | — | カバー、ケース | |
| 錆びにくくした鋼板 | SECCJIS G 3313 | 電気亜鉛めっき。めっきは薄め | — | 屋内の機器・部品 |
| SGCCJIS G 3302 | 溶融亜鉛めっき。めっきは厚め | — | 湿気のある所、屋外の板金 | |
| 鋼管(パイプ) | STKR400JIS G 3466 | 角パイプ。取付けしやすい | 400 N/mm²以上 | 外枠、支柱、フレーム |
| STK400JIS G 3444 | 丸パイプ | 400 N/mm²以上 | 支柱、手すり | |
| その他 | SSC400JIS G 3350 | 薄板を曲げた軽量形鋼 | 400〜540 N/mm² | 軽量な架台、棚 |
| SUS304ステンレス | 錆びにくい。磁石が付きにくい | 520 N/mm²以上 | 水洗い・食品の現場、屋外 |
強さは代表的な引張強さの規格値です。適用する規格・板厚・製品形状で条件を確認してください。
知っておきたいこと:強い材質に変えても、たわみにくさはほとんど変わりません。たわみを減らすには、形状と寸法を見直します。
パレットに使う材料の形状
Steel Sections
ポイントパレットは、板・パイプ・形鋼・棒鋼を組み合わせてつくります。断面の形で、曲がりにくさや取付けやすさが変わります。
板材

天板・金具に

滑り止めが必要な天板に

水はけ・通気が必要な天板に

カバー・目隠しに
パイプ(鋼管)

外枠・支柱に

天板の受け・梁に

支柱・取っ手に
形鋼

枠・受け材・補強に

ベース・フォーク受けに

軽量なパレット・架台に

重量物用のベースに
棒鋼

押さえ・補強に

ピン・フックに

ストッパー・ガイドに
主な標準サイズ
流通しているサイズに合わせると、手配がしやすく、コストや納期も抑えやすくなります。
| 分類 | 鋼材 | 代表的なサイズ(mm) |
|---|---|---|
| 板材 | 鋼板の定尺 | 3×6:914×1,829 4×8:1,219×2,438 5×10:1,524×3,048 |
| 鋼板の厚さ | 1.6、2.3、3.2、4.5、6.0、9.0、12.0、16.0、19.0、22.0、25.0 など | |
| 縞鋼板の厚さ | 3.2、4.5、6.0、9.0 など | |
| パイプ | 角パイプ辺×辺 | □50×50、□75×75、□100×100、□150×150(肉厚1.6〜12.0) |
| 丸パイプ外径×肉厚 | φ21.7×1.9 〜 φ355.6×11.1(例:φ48.6×2.3) | |
| 形鋼 | アングル辺×辺×厚さ | 40×40×3 〜 100×100×10 |
| チャンネル高さ×幅×厚さ | 75×40×5 〜 250×90×9 | |
| リップ溝形鋼高さ×幅×リップ | 60×30×10 〜 150×50×20(板厚1.6〜3.2) | |
| H形鋼高さ×幅 | 100×100 〜 400×400 ほか | |
| 棒鋼 | フラットバー厚さ×幅 | 厚さ3〜25、幅13〜250(例:6×50、9×75) |
| 丸鋼・角鋼 | φ・□ 9、13、16、19、22、25、32、38、50 など |
サイズは流通品の一例です。メーカーや時期によって入手しにくいものもあります。図は断面の概念図です。
スチールパレットができるまで
Manufacturing Process
ポイント設計から切断・曲げ・溶接・塗装・組立まで、工程をつないで製作します。

| 工程 | 主な確認点 |
|---|---|
| 切断・穴あけ | 寸法、穴位置、切断面のバリ |
| 曲げ | 曲げの角度・半径 |
| 溶接・組立 | 溶接による変形、組立後の寸法 |
| 仕上げ・確認 | 外観、寸法、用途に応じた検査 |
詳しくはスチール製品の製造工程をご覧ください。
錆を防ぐ表面処理
Surface Protection
ポイントスチールパレットは、そのままでは錆びます。使う場所に合わせて、塗装・めっき・錆びにくい材料から選びます。

| 方法 | 特長 | 向いている場所 |
|---|---|---|
| 塗装 | 色を選べる。補修しやすい | 屋内、屋外(仕様による) |
| 亜鉛めっき | 亜鉛が先に錆びて鋼を守る | 屋外、湿気の多い所 |
| めっき鋼板・ステンレス | 種類・仕様に応じて錆を抑える | 使用環境・衛生条件に合わせて選定 |
横尾工業は焼付塗装・常乾塗装に対応しています。詳しくはスチール製品の塗装工程をご覧ください。
塗装やめっきをしても点検は必要です。傷やはがれは早めに補修します。
ご相談と安全な使い方
Selection and Safe Use
ポイント図面がなくても大丈夫。荷物の写真や簡単なスケッチからご相談いただけます。
| 項目 | お知らせいただきたい内容 |
|---|---|
| 荷物と用途 | 寸法・重量・重心、輸送用か保管用か |
| 使い方 | フォークリフト・ラック・段積みの有無 |
| 使う場所 | 屋内・屋外、水・塩分・薬品 |
| 製作条件 | 数量、納期、指定の材質・色 |
安全に使うために
- 表示された荷重と使用条件を守る
- 変形・亀裂・ボルトの緩み・錆を定期的に点検する
- 損傷を見つけたら使用を中止し、製作元に相談する
- 後からの穴あけや溶接は、事前に確認する
参考資料(確認日:2026年10月13日)
- 日本パレット協会「パレット標準化の現状と課題」(国土交通省 検討会資料)
- 日立製作所「物流用語:パレット」
- 農林水産省 植物防疫所「木材こん包材の検疫 よくある質問」
- 東京都建設局 材料仕様書「第2章 金属材料」(JIS G 3101・G 3106・G 3444・G 3350 ほか)
- 日建連 鉄骨Q&A「A-1-1」
- 神戸製鋼所 熱延鋼板カタログ
- 神戸製鋼所 冷延鋼板カタログ
- 神戸製鋼所 亜鉛めっき鋼板カタログ
- 日本製鉄 建設用資材ハンドブック「一般構造用角形鋼管」
- 日本製鉄 建設用資材ハンドブック「カラーC形鋼」
- 国土技術政策総合研究所 資料(鋼のヤング係数)
- MONOist「知っておきたいJISから見た機械材料」
- ミスミ「よく使われる金属材料」
- ミスミ「標準材料寸法表(一般鉄鋼材料)」
- 千葉県 積算基準(設計単価編)令和8年9月
- 日鐵住金建材「角パイプ標準寸法・断面性能表」
- スペック早見表「鉄板の重さ・サイズ早見表」
- 小西鋼材「SS400黒皮鋼材サイズ表」
規格値はJISおよび鉄鋼メーカーの公開資料をもとに、2026年10月時点で確認した内容です。規格は改正されることがあるため、最新の規格もあわせてご確認ください。
