スチールパレットを長く、きれいに使うために欠かせないのが塗装です。錆を防ぐしくみ、塗料の選び方、使う場所に合った仕様、色の指定まで、スチールパレットの塗装の基本を図と表でご紹介します。

スチールパレットに塗装が必要な理由

Why Coating Matters

ポイント鋼材はそのままでは錆びます。塗装は、パレットを錆から守り、見た目を整え、用途を見分けやすくするための工程です。

目的内容
錆を防ぐ塗膜で水分や酸素を遮り、パレットを長く使えるようにする
見た目を整える色・つやをそろえ、製品としての品質を保つ
見分けやすくする色分けで、用途・置き場・得意先などを区別する
上塗り、下塗り、鋼材の断面図。塗膜が素地の表面を覆う。
層役割
下塗り(プライマー)素地に付着し、錆を防ぐ
中塗り厚みを確保し、上下の層をつなぐ
上塗り色・つやをつくり、紫外線や雨から守る
屋内向け焼付塗装は1層25〜35マイクロメートル、屋外プラント向けは5層で合計約175マイクロメートルの比較図。
膜厚の単位はµm(1 µm=0.001 mm)。使う場所によって、必要な厚さは大きく変わります。

塗装でパレットの強度や耐荷重が上がるわけではありません。

塗装前の準備

Surface Preparation

ポイント仕上がりと塗膜の持ちは、塗る前の準備で決まります。溶接部や角部は特に念入りに整えます。

油分や汚れの除去、さびや付着物の除去、表面を整えて清掃、清浄と乾燥の確認という準備の考え方。
方法内容主な用途
脱脂加工油・汚れを落とすほぼすべての塗装
ブラスト研削材を吹き付け、錆・黒皮を除去屋外で使うパレット、高い防食性が必要な製品
動力工具・手工具サンダーやブラシで錆を落とす補修、塗り替え
化成処理りん酸亜鉛などで下地の皮膜をつくる塗装の下地(電着塗装など)

塗らない部分は、先に決める

ボルト穴・合わせ面・後から取り付ける金具の接触面など、塗膜があると困る部分は、図面や打合せで事前に決めておきます。

フレームの合わせ面、ねじ穴、塗装面を区別したマスキング説明図。

塗料の種類と塗り方

Paint Types and Application

ポイント塗料は「形態」「塗り方」「乾かし方」の3つに分けて考えると整理できます。

塗料の形態、塗る方法、乾燥硬化の3つの軸を分けた分類図。
形態特徴
溶剤形樹脂を有機溶剤に溶かした塗料
水性水を主な溶媒とする塗料
粉体粉の塗料を付け、加熱して硬化させる
スプレー、静電、はけローラーという代表的な塗装方法。
パレットの形や大きさ、仕上がりに合わせて塗り方を選びます。

樹脂の種類と特徴

Resin Types

ポイント塗料の性能を決めるのは樹脂。屋外で使うパレットでは「エポキシ系の下塗り+ウレタン系・フッ素系の上塗り」が代表的な組み合わせです。

樹脂強みパレットでの使いどころ
フタル酸普及品で汎用的屋内用パレット、補修
アミノアルキド(メラミン)焼付塗料の代表屋内用パレット・架台の焼付塗装
アクリル(焼付形)焼付塗料の一種屋内用パレット・架台の焼付塗装
エポキシ耐水性・耐薬品性が高い(紫外線には弱い)下塗り、水・薬品がかかる現場
ウレタン耐候性が高い屋外で使うパレットの上塗り
フッ素耐候性が非常に高く、汚れにくい長く塗り替えたくない屋外用

期待耐用年数の目安(塗料メーカーのプラント向け塗装ガイドより):フタル酸 1〜3年/ウレタン 8〜12年/フッ素 15〜20年。上塗りの美観に関する目安であり、パレットの寿命や防食性能の持続期間を保証するものではありません。使用環境や塗装仕様により異なります。

乾燥と硬化の考え方

Drying and Curing

ポイント「表面が乾いた」と「使える状態まで硬化した」は別物です。段積みや梱包は、硬化を確認してから行います。

焼付けは製品の昇温、保持、冷却。常乾塗装は環境条件に応じた乾燥、硬化、取り扱い確認。
方法特徴注意点
焼付塗装加熱して硬化させる
被塗物の温度と保持時間は、使用する塗料の指定条件に従います。
熱に弱い部品は付けたまま焼けない
常乾塗装常温で乾燥・硬化させる温度・湿度・通風の影響を受ける

「焼付けだから必ず丈夫」とは限りません。樹脂・下地処理・膜厚を含めて判断します。

色とつやの指定

Color and Finish

ポイント色は「日塗工番号」「つや」「現物見本」の3点セットで伝えると確実です。既存のパレットと色をそろえる場合は、現物を確認します。

色番号、つや、肌外観、現物見本の4項目で色と仕上がりを指定する説明図。

日塗工番号の読み方(例:L15-60V)

見本帳は2〜3年ごとに更新され、頭の記号が変わります(P15-90BとK15-90Bは同じ色)。

つやの段階

つや有り7分つや5分つや3分つやつや消し

使う場所と塗装仕様の選び方

Choosing a Coating System

ポイントパレットをどこで使い、何が触れるか。塗装仕様は使用環境から決めます。

水分結露、日射温度、塩分薬品摩耗など塗装仕様を決める環境要因。
使用環境仕様の考え方
工場内(乾燥)焼付塗装または常乾塗装
結露・水洗いがある現場耐水性の高い下塗り(エポキシ系)+上塗り
屋外保管防食性の高い下塗り+耐候性の高い上塗り(ウレタン系・フッ素系)
海岸部など塩分の多い場所ブラスト+ジンクリッチプライマーなど。溶融亜鉛めっきも選択肢
薬品・油がかかる現場耐薬品性の高い塗料を個別に確認

フォークや荷物がよく当たる部分は、傷が付きやすい箇所です。補修のしやすさも含めて仕様を考えます。

品質確認と使用中の点検

Quality and Inspection

ポイント不具合の多くは「汚れ」「塗りすぎ」「乾燥条件」が原因です。使い始めてからは、傷とはがれを早めに見つけて補修します。

不具合状態主な対策
たれ塗料が流れて厚くたまる適正な膜厚と希釈量を守る
ゆず肌みかんの皮のような凹凸粘度とスプレー条件を整える
はじき塗料がはじかれ、穴ができる脱脂・清掃を徹底する
あわ塗膜に泡が残る適温で塗る。混ぜた後は少し置く
はがれ塗膜が素地からはがれる素地調整・塗装間隔・混合比を守る
ふくれ塗膜が内側からふくらむ結露時に塗らない。急加熱を避ける

主な品質確認の項目

項目規格の例
膜厚JIS K 5600-1-7
付着性(クロスカット法)JIS K 5600-5-6
硬さ(鉛筆法)JIS K 5600-5-4
つや(鏡面光沢度)JIS K 5600-4-7
耐食性(塩水噴霧)JIS K 5600-7-1

使用中に点検したい場所

場所見るポイント
フォークが当たる部分傷・はがれ
溶接部・角部錆の出始め
天板の上・くぼみ水がたまっていないか

補修に使う塗料は、元の塗膜との相性を確認してから選びます。

横尾工業の塗装対応

Coating at Yokoo

ポイントスチールパレットの製作から塗装まで、一貫してご相談いただけます。

横尾工業の公式ページに掲載されている鋼製フレームの塗装作業
横尾工業公式「スチール製品の塗装工程」掲載写真。
対応内容
焼付塗装・常乾塗装使う場所・用途に合わせてご提案
大型製品大型乾燥炉を保有。寸法・重量を確認して判断
標準色・指定色横尾カラー、日塗工番号の指定色、指定塗料に対応

図面・写真、サイズ・数量、使う場所、希望の色・つやをお知らせください。仕様が決まっていなくてもご相談いただけます。詳しくはスチール製品の塗装工程をご覧ください。

参考資料(確認日:2026年10月13日)
  • 日本ペイント「プラント塗装ガイドブック」
    https://www.nipponpaint.co.jp/pdf/products/large/guidebook/civicp.pdf
  • 日本ペイント・インダストリアルコーティングス「溶剤形塗料・水性塗料」
    https://nipponpaint-industrial.com/products/general/
  • 日本ペイント・インダストリアルコーティングス「粉体塗料」
    https://nipponpaint-industrial.com/products/powder/
  • ロックペイント「低温エミーラック」技術資料
    https://rockpaint.co.jp/industry/data/manual/050-2205info.pdf
  • ミリオン化学「化成処理剤」製品資料
    https://www.million-k.co.jp/contents/files/product01_01_01.pdf
  • 日本塗料工業会「色票番号について」
    https://www.toryo.or.jp/jp/color/standard/number.html
  • スズカファイン 製品資料(AEPクリーン)
    https://www.suzukafine.co.jp/sfdata/product/c/C55163.pdf
  • 日本規格協会「JISハンドブック 塗料」収録規格一覧
    https://webdesk.jsa.or.jp/link/lib/jis2023/index/jishb23-30.pdf
  • 日本ペイント「流れ・タレ」
    https://www.nipponpaint.co.jp/biz1/large/pdf/2-07.pdf
  • 日本ペイント「あわ」
    https://www.nipponpaint.co.jp/biz1/large/pdf/2-08.pdf
  • 日本ペイント「はじき」
    https://www.nipponpaint.co.jp/biz1/large/pdf/2-09.pdf
  • 日本ペイント「ゆず肌」
    https://www.nipponpaint.co.jp/biz1/large/pdf/2-14.pdf
  • 日本ペイント「はくり・付着不良・はがれ」
    https://www.nipponpaint.co.jp/biz1/large/pdf/3-03.pdf
  • 日本ペイント「ふくれ」
    https://www.nipponpaint.co.jp/biz1/large/pdf/3-05.pdf
  • 関西ペイント「技術基盤」
    https://www.kansai.co.jp/rd/tech-base/
  • 関西ペイント「色のおはなし」
    https://www.kansai.co.jp/rd/color_story.html
  • 横尾工業「スチール製品の塗装工程」
    https://yokootimber.co.jp/steel-section/paint-process

図は基礎知識を説明する模式図です。一般的な工法・塗料の説明は、横尾工業の全対応範囲を示すものではありません。

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参考資料

  • 日本ペイント「プラント塗装ガイドブック」
    https://www.nipponpaint.co.jp/pdf/products/large/guidebook/civicp.pdf
  • 日本塗料工業会「VOC推定計算マニュアル」
    https://www.toryo.or.jp/jp/book/files/vocGL.pdf
  • 関西ペイント「工業用塗料 製品情報」
    https://www.kansai.co.jp/products/industrial/product-info/
  • 横尾工業「スチール製品の塗装工程」
    https://yokootimber.co.jp/steel-section/paint-process
  • 関西ペイント「技術基盤」
    https://www.kansai.co.jp/rd/tech-base/
  • 関西ペイント「セラMシリコンDP」製品資料
    https://asset.kansai.co.jp/uploads/products/decorative/fm/catalog_pdf/940.pdf
  • 日本ペイント・インダストリアルコーティングス「溶剤形塗料・水性塗料」
    https://nipponpaint-industrial.com/products/general/
  • 日本ペイント・インダストリアルコーティングス「粉体塗料」
    https://nipponpaint-industrial.com/products/powder/
  • 日本塗料工業会「色票番号について」
    https://www.toryo.or.jp/jp/color/standard/number.html
  • 関西ペイント「色のおはなし」
    https://www.kansai.co.jp/rd/color_story.html
  • 日本ペイント・インダストリアルコーティングス「スーパーラックネオ」資料
    https://nipponpaint-industrial.com/sys/wp-content/uploads/0c1a10aa9567d68dc597898c5107f782-1.pdf

確認日:2026年10月13日。図解は基礎知識を説明する模式図です。本文の一般的な工法・塗料分類は、横尾工業の設備・全対応範囲を示すものではありません。